うちの教室が資格でなく修了証を発行する理由

カウンセリングの資格団体って、本当にたくさんあります。

 

そして、「どの資格を取ったらカウンセラーとして食べていけますか?」とよく質問されます。

 

 

これの答えは、質問の意図によって変わります。

 

もしその質問の意図が、「カウンセラーとして就職したい」であれば、公認心理師、一択です。

 

 

 

現状、日本では就職につながるカウンセリングの資格は、ほぼ公認心理師(臨床心理士)だけです。

その他の資格でもたまに就職できたりしますが、かなり珍しいケースだと思います。



産業カウンセラー、シニア産業カウンセラーなら、たま~に求人を見かけるかな、という感じ。

それも本当にごくたまにという感じです。

 

 

(余談ですが、僕個人はこの分野、産業カウンセラーのEAPとしての就職が当たり前になることが、日本に本当の意味でカウンセリングが根付くきっかけになると思っています。

 

だって、仕事でメンタルの不調になって休職する人がこんなにたくさんいる世の中なのですから。

 

その人たちが普通に働けるようになれば、その人の心や人生にとって良いだけでなく、経済にもよい影響を与えると思います。

 

心が元気でなければ、良い仕事なんてできないのですからね。

 

スクールカウンセラーが当たり前になるのなら、産業カウンセラーも当たり前になるべきだと思っています。

 

そういう意味ですごく産業カウンセラーを応援しています。

 

余談といいつつ、長くなってしまいました)




でも、この質問の意図が就職ではなく、独立開業を目指しているなら、全く話は別です。



公認心理師ではなくても、十分に実力のある民間資格の心理カウンセラーはたくさんいます。

ただ、そういう人はどこかの団体で資格を取って終わりではなく、ずっと勉強をし続けている人たちです。



また独立開業する場合は、心理学やカウンセリングの勉強はもちろんのこと、情報発信の仕方を学ぶことも大事だと思います。

 

 

カウンセラーとして独立開業して食べていけるのは、ちゃんと継続して学びつつ、悩んでいる人のために工夫して情報発信をし続ける人です。

 

それができる人はなかなかいないし、僕自身にとっても簡単なことではありません。

 

特に情報発信の方法は本当に変化が激しくて、僕自身もいつふるい落とされるかわかりません。



正直、民間の資格を取っても、それ一つで就職できるとか、食べていけるようになるというのは、なかなか難しいのが現状です。

それを考えたときに、自分がカウンセリング教室を開いて、さも「うちの資格さえ取ればプロとしてやっていけますよ!」と謳うのは、なんかちょっと違うな~と思ったのです。

 

 

本当にぶっちゃけた話。

 

「この資格さえ取ればプロのカウンセラーになれますよ!」という雰囲気の資格名を作り、資格ビジネスをした方が集客は簡単です。

 

 

実際のところ、カウンセラーが食べていけるかどうかは、漫画家とか芸術家と似ています。

 

技術を教えてくれる学校はあっても、そこを出て食べていけるかどうかは自分次第なんです。

 

 

漫画家とか芸術家で資格マニアになる人はあまり見かけません。

 

でも、なぜかカウンセリング業界は資格マニアになる人が多いです。

 

 

「立派な資格さえあれば、仕事にありつけるはず…」。

 

そう思わせる雰囲気が、業界全体にあるのかもしれません。

 

 

ただ、僕は自分がカウンセリングの勉強をはじめて18年。

 

カウンセリングの資格マニアになる人をたくさん見てきました。

 

でも、それで食べていけるようになった人を、僕は一人としてみたことがありません。

 

 

数百万、民間の資格にお金をかけた人もいたけれども、それで食べていけるようになったわけではありません。

 

 

食べていけるようになるかどうかと、資格の立派さはほとんど関係ありません。

 

独立して食べていけるようになったのは、心理学の勉強と情報発信の工夫を怠らなかった人だけです。

 

僕は決してここはごまかして伝えてはいけない部分だと思っています。

 

 

 


ただ、これは決して公認心理師にならなければ、心理カウンセラーになれないという意味ではありません。

 


どちらかというと、資格マニアになって欲しくない、肩書きに頼るカウンセラーになって欲しくないという気持ちの方が大きいです。

良いカウンセラーほど、立派な資格や肩書きを持っていてもそれをひけらかさないし、民間の資格であってもそれに劣等感を持たないものです。

 

「心のとらわれを解放する」のがカウンセラーなのに、そのカウンセラーが資格にとらわれているのは、なんかおかしいと思うのです。

 


実は僕自身も、自分が大学院を出て臨床心理士をとらなかったことに、ずっとコンプレックスを持っていました。

大学院を出で臨床心理士を取った人に対して、どこか弱腰になっている自分がいたのです。

 

 

臨床心理士の人たちは、僕に対していつも対等に接してくれていたし、丁寧でやさしくいろいろなことを教えてくれていたのに。



そんな自分に気づくことができたのは、国家資格である公認心理師を取ったときです。

それまでは、そういう自分のコンプレックスにすら、気づいていませんでした。

 

いや、気づきたくなかったのだと思います。


そして、いまになって思うことがあります。

 

 

それは、僕たちカウンセラーのところには、学歴コンプレックスを抱えている人や、大企業コンプレックスを抱えている人たちも、たくさん相談に来るということ。

そういう人のカウンセリングをする僕たち自身が、資格コンプレックスを抱えているのは、あまりよくないなとは思うのです。


(とはいえ、多少、気にしてしまうのも、人間らしい心の働きですよね。

少しくらい資格コンプレックスがあっても、それほど気にしなくていいかなと思います。

 

そういう自分の人間らしい弱さに気づくのも、カウンセラーとして必要な経験です)

 

 

 

だからこそ、自分がカウンセリング教室を開くとなったとき。

 

資格ビジネスをやるのは何か違うと、どうしても思ってしまうのです。


ただ、何か形になるものがなければ、なかなかモチベーションが上がらないのも事実です。

そこでうちでは、修了証を発行しようかと思っています。

 

 

僕は30代後半のとき、1年半ほど太極拳教室に通ったのですが、そのとき初級コースを卒業したのがすごくうれしかったし、そこを一つのモチベーションにしていたのも事実だからです。

 

初級コースを卒業して、同じ教室のみんながパチパチと拍手してくれたのは、少し恥ずかしかったけれどもとてもうれしかったのです。

 

 

何かを学ぶうえで、そういう目安のようなものは大事だなと思います。



なのでうちの教室では、カウンセリング基礎コース修了証、カウンセリング継続コース修了証という感じで、みなさんのカウンセリング学習の目安、モチベーションにしてもらえればと思います。


なんてカッコいいことを書きましたが、、、

 

受講生さんから資格名にして欲しいという声がたくさんあれば、修了証ではなく何らかの資格にするかもしれません。

 

その辺は受講生さんファーストでいいかなと思ってます。

 

 

まあ、どんな資格になったとしても、それで就職が有利になるとかはまずないんですけどね。

 

現状、公認心理師以外の資格はほとんど就職で有利になることがないですからね。